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          七佛通戒偈について

                                      (曹洞宗 大覚寺 末益 泰輝)


「如何に仏教の教えを分かり易く、皆さんに伝えることが出来るか」ということについて考えています。多分、言葉を使って飾れば飾るほど、本来お示しである教えから離れていくのかもしれませんが、敢えて挑戦したいと思います。

「七佛通戒偈」という偈文があります。お釈迦様とお釈迦様以前に現れたとされる、六人の仏様を併せて過去七佛、或いは七佛とお呼びするのですが、この過去七佛が共通して保ったと言われるのが、この「七佛通戒偈」であります。「戒」でありますから、戒めの偈文です。仏教の思想を1つの偈文に要約したものと見なされています。

「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意(心) 是諸仏教」(法句経)という偈文で、訳せば「もろもろの悪をなすことなく、全ての善を行い、自らの心を清めなさい。これがもろもろの仏様たちの教えです。」という意味になるということです。

こうして聞いてみると、非常に分かり易い教えと思われることでしょう。しかし、ここで気をつけるべきことは、「ああ、なるほど!解ったぞ」と理解して終わりではなく、実はそこを出発点として「実際、自分自身の日常の行いにおいて、それが本当に実践できているのかどうか!解ったつもりだけではないのか!」というところに思いを致すことであると思います。

すなわち、自分自身を振り返ること、そして気が付いたらまず実践すること。もっと言えば、一回だけではなく、繰り返し繰り返しその問い掛けを自分自身に課すことが、仏教徒である私達の課題ではないでしょうか。

そこから、また一歩、仏教徒としての歩みを進めることが出来るのではないかと思えてなりません。只一回振り返ってそれで終わりであれば、こんなに簡単なことはないですから。

尚、この「七佛通戒偈」と通じるなと思われる話で中国の詩人・白居易と道林禅師の逸話があるのですが、それはまた改めてお話させて頂きます。


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