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おかげさま

浄土真宗・永照寺・松岡 洋之


 今年も残すところあとわずかとなりました。

 一年間を振り返ってみますと、うれしいことや楽しいことがありました。

 また、悲しいことや辛いこともありました。

 悲しみや辛さを経験したい人は誰もいません。

 しかし、悲しいことや辛いことを避けて生きていくことはできません。

 今からおよそ2500年前、お釈迦様は、すべてのものは繋がり、関わり合い、縁によって成り立っていることを発見し「縁起」というみ教えとしてお示しくださいました。

 すべてのものと説かれていますから、この私自身も「縁起」の法則の中で生かされています。

 縁がととのえば、うれしいことや楽しいことも悲しいことや辛いことも起こりえます。

 家族や友人といった自分の周りの近しい方は勿論のこと、数えきれないほどたくさんの方々と関わり合って生活をしています。

 人間関係だけに限った話しではありません。

 目に見えない、気付けないほどのたくさんのいのちや物事のおかげによって今の私は支えられています。

 落ち込んでいる時、周りの方々の思いやりに触れて、自分は支えられて生きていることを知り、温かな気持ちに包まれる時があります。

 物事がうまく進まない時、人生は思い通りにならないことを知り、当たり前だと思っていたことが有り難いことだったと分かる時があります。

 様々な経験を通して色々なことに気付かされます。

 悲しい経験や辛い経験は決して無駄なことではありません。

 今までの経験ひとつひとつ、私を取り巻くすべてのことは今の私を支え育ててくれている大切な事柄です。

 そして同時に、そのような私という存在も誰かや何かの支えとなっており、かけがえのない存在であることを「縁起」のみ教えは気付かせてくれます。

 常日頃、自分さえ良ければいいといった身勝手な振る舞いをついついしてしまう私を恥ずかしく思い、反省をします。

 そして、私を支え育ててくださっているたくさんの方々や物事に感謝をさせていただく年の瀬とさせていただければと思います。