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          モンシロチョウの目

浄土真宗・光源寺副・三上照文


 先日、車を走らせながら、『夏休み子供科学電話相談』というラジオ番組を聴いていました。

 子供たちが疑問に思っていることを電話で質問し、専門の先生方がその場で答えるという番組です。

 子供の目線というのは面白く、いろいろなことに興味と疑問を持っているのだなと、感心しました。

 その中で、「モンシロチョウのオスとメスはどのように見分けるのですか」という質問がありました。

 それに対して昆虫学者の先生は、人間がモンシロチョウをどう見分けるのかという話の前に、モンシロチョウがモンシロチョウをどのように見分けているのかという話をされました。

 モンシロチョウをはじめ多くの昆虫は紫外線で物を見ているということがわかってきたそうです。

 そして、紫外線で物を見ることができる特殊なカメラでモンシロチョウを見ると、オスは黒く、メスは白く見えるというのです。

 つまり、人間の目から見れば、モンシロチョウのオスもメスも同じ白で、あまり違いはありませんが、モンシロチョウの目から見ると、一目瞭然、オスは黒、メスは白なのです。

 昆虫たちは紫外線を感受できる目によって、人間とは全く違った世界を見ているのだという話でした。

 お正信偈に「煩悩(ぼんのう)、眼(まなこ)を障(さ)へて見(み)たてまつらずといへども、大悲(だいひ)、倦(ものう)きこと無(な)くして常(つね)に我(われ)を照(て)らしたまふ」というご文があります。

 私の目はありのままに世の中を見ているようでも、煩悩をとおして世の中を見ているため、ありのままには見えていないのです。

 あれが好き、これは嫌い、あの人は好き、この人は嫌いというのも、自分にとって都合がいいか悪いかで判断していることが多いのです。

 モンシロチョウの目のように、見方を変えると、世界が全く違って見えてくることがあります。

 阿弥陀様は大慈悲のお心をとおして、世の中をありのままにご覧になり、飽くこと無く常にこの私にはたらいてくださっています。

 そして、お念仏はその大悲のお心をいただきつつ、阿弥陀様のものの見方の一端にふれさせていただく感謝の日暮です。




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