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    自転車に乗って思う

曹洞宗・大覚寺・末益泰輝


 最近、自転車に乗り始めました。

 日常的に乗るのは高校時代以来となります。

 以前から運動不足が気になっていたこともあり、「ちょっとした用事やお使いは、車やスクーターを使わないで自転車を利用しよう」と思い立った訳です。

 いざ自転車を利用してみると、実に多くのことに気付かされます。

 道路の上りや下りの具合や傾き加減、段差、舗装の継ぎ目、タイヤから伝わる振動、風の吹く方向や強さ。

 更には周りの景色や匂い、耳に入ってくる様々な音、人の声などが、直に自分の身体と五感に伝わってきます。

 これらは車を利用している時には殆ど気にもしないことばかりです。

 まして、自分の全身を使ってペダルを漕ぐ訳ですから、平坦な道や下り坂は「スイスイ」と快適に、逆に上り坂や雨風が強い時、また積んである荷物が重い時には「ゼイゼイ」と激しい呼吸と、辛く苦しい気持ちで自転車を操ることとなりますが、自分で乗ってみて改めて、普段から自転車を利用している人の感覚や気持ち、場合によってはその大変さが実感できた気がしました。

 さて、自転車を通しての体験を述べさせて頂きましたが、私たちがお勤めやお経から頂いている仏さまの様々な教えについても、同じことが言えるのではないでしょうか。

 つまり、お示しになった教えを、実際に我が身と心を以って実践してみること。

 務めてみて改めてその素晴らしさを感じ、時にはその難しさを痛感する、そしてまた励む。

 それを繰り返し続けることによって、初めて教えが私たちにとって「生きた教え」となり、ひいては「仏道」になると思うのです。

 どうぞ、お互いに励んでまいりましょう。




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