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因縁の中で
(浄土真宗・平安寺・後藤泰裕)
世の中には様々な因縁が生じ、それに対しての結果というものが常にあります。
一昔前の中国での出来事についてお話をさせていただきます。
1958年の冬に、中国の権力の頂点は毛沢東にありました。
その毛沢東は農業の大増産を図る過程でスズメが穀物の収穫高を減らす害鳥であると判断しました。
そして、中国人民を動員しスズメの撲滅に乗り出したのです。
その結果として、中国全土では何百万羽というスズメが殺されてしまいました。
さて、スズメの撲滅により農業の収穫高は上がったのでしょうか。
実は、そんなことにはなりませんでした。
スズメは生態系のバランスを保つのに不可欠な存在だったのです。
スズメが消えると、それらが食べていた昆虫が瞬く間に勢いづいてしまったのです。
イナゴがどうしようもないほど増え、バッタも同様でした。
昆虫は穀物を食べつくし、大飢饉が起きてしまったのです。
毛沢東政権が良かれと思い起こした行動が、複雑に絡み合う因縁の中では、大変悲惨な結果をもたらしてしまったのです。
何がどのような結果に結びつくのか、考え抜くことは途方もなく難しく感じられました。
今現在、この私が生かされている事についても、様々な因縁による結果であります。
仮に、些細な出来事かと思うような事があったとしても、今の私は存在していなかった可能性すらあるのです。
常に因縁というものを考えることは難しいことです。
だからこそ、ふと気づいた時には決して当たり前ではないこの今を噛みしめ、日々の暮しに感謝にしていきたいものであります。
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