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(曹洞宗・大覚寺・末益泰輝)


 曹洞宗ではいうまでもなく「坐禅」が第1の眼目とされます。この「坐禅」において最初に行う呼吸を「欠気一息(かんきいっそく)」と呼びます。体中の息をゆっくり大きく口から吐き出しますが、下腹(おへその三寸したと言われます。丹田。)で行います。次に吐ききった勢いで鼻からゆっくりと吸う。注目したいのは第1に「吐く息」が大事とされていることです。
 
 さて、赤ちゃんが生まれてくる時、第1声目の「おぎゃあ!」という泣き声と共に行う呼吸がまず「吐く息」であり、お母さんの胎内にいた時、耳や鼻、口に入ってきたものを全てその時に吐き出すという話を聞きました。
 
また、これは私自身も実際に立ち会う機会があったのですが、私たち人間が亡くなる直前には、呼吸が一息一息ゆっくりとなってきます。大きく荒い口からの呼吸ですが、吐いては吸い、吐いては吸い、という呼吸が繰り返されます。そして次の息が吐けない時、臨終を迎えるということです。ちなみに息を吸った状態で臨終を迎えるので、亡くなることを「息を引き取る」と言われるのだそうです。

 こうして見ますと、私たちが普段無意識の内に行っている「呼吸」ですが、「吐く息」がいかに重要かが分かります。確かに、お腹を使ってしっかり息を吐いてから吸う方が、その逆の時よりも体と心がきちっと定まるようです。
 ゆっくりしっかり息を吐いて良い呼吸をする。皆さまの平生のお参り、あるいは感情にとらわれてしまったり、心を落ち着けたい時など是非やってみて下さい。深い安定を感じて戴けることと思います。

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