(曹洞宗・大覚寺・末益泰輝)
お盆の行事をなんとか無事に終え、一安心しているこの頃です。
行事を通じて、お盆休みで帰省されたお檀家さまやそのご家族の方々と、たくさんお会いしました。
それぞれの近況報告や、お互いの健康と幸せを願う会話は、やはり心が温まるものです。
そうした会話の合間に、皆さまのお悩みの一つとして耳にしましたのが、
「普段、遠方にいるため、思うようにご実家のお仏壇やお墓をお参りできない心苦しさ」でした。
それぞれのご事情に沿った具体的な対応はさておき、そんな時、私は、
「まずはご自身が住む場所で、しっかりお手を合わせて、一生懸命にご先祖様を念じて下さい。」
と、お話させて頂いています。
曹洞宗の開祖・道元禅師様は「正法眼蔵」という著書の中で、仏様への供養の方法について、
「おほよそ供養に十種あり」とお示しになり、その10種類の方法の第4番目に、
「不現前供養(ふげんぜん くよう)」を掲げられました。
「不現前供養」とは、
「まのあたりにあらわれていない仏やお堂や塔に供養する。直接その現場には行かないけれど、目に見えないところで供養し、礼拝する」という供養です。
たとえ、目の前に行けなくても、目の前に仰ぐことはできなくても、何処にいようとも、自分が今いるその場所で、ご先祖様のお姿、またはお仏壇やお墓を思い浮かべ、しっかり手を合わせて、礼拝の心で念ずることが、尊い供養の一つである、と説かれているのです。
真心で念ずるあなたの姿と想いは、その教えにかなうものとして、必ずご先祖の皆さまへ届くに違いありません。