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          本当の意味

(曹洞宗・大応寺副・松原正浩)


〜こちらは萩心の電話です。今週は曹洞宗、大応寺がお話いたします〜

私たちが日頃何気なく使う言葉のなかに、「忙しい」という言葉があります。よく挨拶に使われている言葉ですが、本当の意味からすると間違った使い方をしていることが多いようです。

「忙しい」という字はりっしんべんに亡(なくなる)と書きます。りっしんべんというのは人の心を表しており、人の心が亡くなるのが「忙しい」という字なのです。

そうすると、「私は今忙しい」ということは「私は今人の心を持っていない、亡くしているから危ないよ」という意味になります。つまり、自分を卑下するのに使うのはかまいませんが、他人に対して使うと大変失礼な言葉なのです。

日常の生活で「あんた、お忙しゅうございますの。」「はあはあ、おかげさんで。」という使い方をされることがあると思います。よくよく意味を考えてみると、「あんた人の心を持っていない、危ないねえ」と馬鹿にされているのに「はあはあ、おかげさんで。」と感謝しているというおかしな会話だということがわかります。

ほかにも「本日は御多忙のところ、よくおいでくださいまして」という使われ方がありますが、これも「あんた、よいよ人じゃあないのによう来ちゃったね」ということです。

現在、言ったほうも言われたほうもそこまで気にする人はいないでしょう。使ったほうがスムーズに会話ができる、便利なんだからいいじゃないか。

そうかもしれません。しかし、そういった考え方が物事の本当の意味を伝えない、今の日本を創ったのではないのでしょうか。今の日本は伝えるということをもっと大切にするべきだと思います。まずは御家庭の中から始められてはどうでしょうか。

〜来週月曜日より 浄土真宗 三千坊様のお話に変わります〜
 

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