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          人として

浄土真宗・光楽寺・守重哲夫


暑い夏真っ盛りの今日この頃ですが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。体は元気でも心を病んでおられる方、体は病いにおかされても精神は健全な方、体も心も健康な方、体も心も不健康な方、それぞれ皆状況は違うでしょうが、とりあえず生活しておられるわけですから、こうしてこの電話を聞かれているわけです。

先月より、お墓の掃除、雑草の刈り取りをしてお盆のお参りに備えてきました。雑草の中には無数の虫が生活しており、草を刈ると、一斉に飛び出してきます。それをえさにしようと、沢山のトンボがどこからともなく、やって来ます。

平和な生活をかき乱したうえに親兄弟の命まで奪ってしまった私は、虫から言わせれば、鬼だろうな、などと思いながら刈り続けるのですが、刈っても刈ってもきりがない気がしてくると、”雑草のようにたくましく育つ”なんて言葉があるけど、雑草が生えて困る立場のものからみれば、冗談じゃない、と思い始め,腹が立ってきます。

野菜や果物やお米は人間の食料になるからどんどん育ってほしい、雑草は邪魔だから生えてほしくない、これは人間としては、いたしかたのない思いでしょうが、地球や自然は人間の為に存在しているわけではないし、この世に生を受けたのも、人間だけではない事に改めて気づかされます。

数知れず存在する生物の中で、人間だけが持っているものは何でしょうか。それは宗教です。この世の生活の次にはお浄土での生活が待っていて、お釈迦様の恩徳を感じる事が出来、後生の一大事に備えて現世の生活を精一杯充実したものにしようと努力する事ができる、そういう特権をもっているのは凡夫である私達人間だけなのです。

蝉や虫や鳥が、生きている、生かされている、と言うことを実感し、感謝と報恩の思いを持って生活していると思いますか?

私達がこの世にいる長さには皆違いがあり、早く行くもの、長く現世にとどまるもの、様々ですが、200年も300年も生きている人はいません。私達は必ずこの世から去ることを前提に生まれてきているのです。

医学や科学の進歩は素晴らしいものですし、生活も便利になりますが、反面自分たちが神や仏に近くなったような錯覚に陥ってしまい、行き過ぎた冒険や自然に反した行いにつながる事もしばしばです。今一度白骨の御文章を読誦してみましょう。

音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。