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          人の痛みが分かる

浄土宗・俊光寺・岩垣法順


 「人の痛みが分かる」ということについてお話しします。

 ここにお菓子の箱があります。

 何が入っているかと尋ねられてあなたは当然、「お菓子が入っていると思う」と答えます。

 しかし、開けてみると鉛筆が入っていました。

 あなたはそれをはっきりと見て、確認しふたをしました。
 
 そこで問題です。このお菓子の箱には何が入っていると他の人は思うでしょうか?

 如何ですか?お菓子の箱ですからお菓子だと思っていたら、鉛筆だったのです。

 今鉛筆が箱の中に在るとあなたは知っていますが、まだ他の人は知りません。

 多分、大部分の大人は、「他の人も、お菓子が入っていると思う」と答えるのではないでしょうか?

 ところが三つぐらいの子供に質問するとみんな「他の人も鉛筆が入っていると思う」と答えるのだそうです。

 スマーティテストというよく知られた、相手の心の状態を考えることが出来るかどうかを調べる実験です。

 自分の経験が一般化され、普遍化されて、外から自分を眺められるようになるのには、脳の発達を待たねばならないのです。

 相手の立場を理解する、状況が判断できるというのは、犬や猿、チンパンジーでも中々難しいかなり高度な判断能力といえます。

 私たちは、相手の立場に立って考え、理解することが出来ます。

 人は生まれた時から、両親も含めて、他者との関わりなしでは生きてゆけません。

 この能力がなければ生きてゆくことが出来ないといってよいくらいです。

 大人になって社会生活を営むようになれば益々大事な能力となります。

 『複雑な人間関係』という言葉がありますが、この能力があればこその関わり方といえます。

 相手の立場に立って考える、言い換えると「人の痛みが分かる」この人間だからこそ出来る能力は、人を欺くことも出来ますが、心傷ついた人を慰めることも出来るのです。

 この能力を御仏の心に沿って十分に発揮すれば、人間らしい豊かな人間関係ができあがります。




音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。