こちらは萩心の電話です 今週は浄土真宗光山寺がお話し致します。
戦後60周年を迎えました。多くの犠牲者を出しましたあの戦争を体験された方々も高齢化し、戦争が如何に悲惨な事であるのかも段々と忘れられ、風化されてきています。
一方、世界に目を向けますと、二十一世紀を迎えた今でも2001年のアメリカの同時多発テロ、それに対するアメリカのアフガン攻撃、そしてイラク攻撃と、正義の名の下に尊い命が奪われました。自己の主張しか見えない人間の愚かさがそこにはあります。
浄土真宗が依りどころとする『大無量寿経』には「兵戈(ひょうが)無用」、兵士と武器に用事はないという言葉があります。
そこには「仏が歩み行かれる所は、国も町も村も、その教えに導かれないところはない。そのため世の中は平和に治まり・・・国は豊かになり、民衆は平穏に暮らし、武器をとって争うこともなくなる」(現代語版『浄土三部経』135頁)とあります。
仏教は自己を正義化し、他を排除するという思想ではありません。また、命を奪うというとは赦される事ではありません。特に真宗では、阿弥陀さまの智慧に照らされ、他を責めてやまない己の愚かさ、罪を作りつづける己を反省し慚愧することを大事にしています。
ところで、先日私の関係する大学で、学生さんに戦争と広島への原爆投下の事実などをどの程度理解しているかアンケートを採りました。
ところが、少なからず戦争の詳しい事実と原爆の悲惨さを理解していない学生さんがいました。特に広島の原爆投下に関しては東日本出身の学生さんほど意識が低いことを実感しました。次第次第に若者世代には風化が進んでいるようです。
今、私達はその風化しつつある悲惨な事実をもう一度再認識し、仏のみ教えを広めることを通じて、安穏・平和なる世界を求めて行かなくてはならないと思います。