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(曹洞宗・海潮寺副・木村延崇)
連休中の5月3日と4日は、萩大茶会。
その初日には、志都岐山神社で献茶式が執り行われました。
志都岐山神社は維新後の明治12年、萩城本丸跡付近を整地し、萩開府の毛利輝元公らを主祭神とする神社として開創されました。
献茶式は、千利休菩提寺の京都大徳寺開山忌でも営じられるなど、仏教寺院においても執り行われます。
萩の志都岐山神社での献茶式では、濃茶と薄茶をお点前して神前に供えます。
この時あらかじめ宮司さんによって、お点前をする献茶主と、茶道具が修祓(お祓い)されます。
献茶主は伝統的に自在庵保存会で勤めます。
自在庵とは、13代藩主敬親が三の丸の別邸花江御殿内に造った茶室で、幕末国事万難の折、勤王の志士らが集い、茶事に托しながら国事を画策したといわれています。
明治22年、品川弥二郎らが萩城址の指月公園内に移築し、今に到っています。
また吉田松陰の実兄、杉民治はこの茶室の保存を提唱し「自在庵保存会」を発足しました。
恐れ多くも今は私も会の末席を汚させていただいております。
今年の萩大茶会では、お茶席を楽しまれるため、遠近から多くの方が訪れていました。
一方で、献茶式はこの大茶会の開会式に相当するものですが、まだあまり広く知られていないようです。
禅の精神世界を背景として生まれた茶の文化が、神前において格調高く行じられるひとときを、多くの方にもっと知っていただき、茶の奥深さを味わっていただきたいと思っております。